企画展 2F 木村直道+遊びの美術

2006.1.7 [土] - 2.5 [日]

遊び、戯れる。それは強いられることのない自発的な活動であり、無限の想像力や解放感を私たちに与えてくれます。また、遊びや遊戯を通じて獲得した柔軟な精神は、既存の文化に疑問を投げかけ、硬直した理性を解きほぐし、新たなものの見方をもたらしてくれます。
このような遊びの精神は、自由を尊ぶ美術とも深い関係を保ってきました。実利を目的としない点など、美術は遊びと多くの共通性をもっており、様々な美術家が遊びの要素をその表現にとり入れています。だまし絵のような視覚的な遊び、有名な図像のパロディ、柔らかで遊び心にみちた造形、とるに足らない物によるユーモラスなオブジェ、笑いを誘うナンセンスな表現。その手法は様々ですが、遊びの表現は、多義的に開かれた世界を追い求めてきた美術にとって、大きな原動力になってきました。単なる造形をこえ、私たちの生にとって糧となる美術が求められている今日、遊びの精神はますます意義深いものになっているに違いありません。
この展覧会は、こういった遊びの精神と美術の関わりに焦点をあて、2部から構成されます。第1部では、埼玉県ゆかりの彫刻家、木村直道(1923-1972)をとりあげ、廃品などを用いた造形に、言葉遊びや見立てを加えたユーモアあふれる制作を回顧していきます。第2部は「遊びの美術」と題し、江戸から現代まで様々な時代の国内外の美術家10人を紹介しながら、異なる世代や地域において、遊びの精神が美術にどのように現われているのかを探っていきます。
今日では実用や利潤ばかりを重視するあまり、もともと無償の行為であった遊びすらも消費社会のシステムに大きくのみ込まれようとしています。テレビゲームのような規格化された画一的な遊びが至るところにあふれ、次々と追いたてられて流行に巻き込まれていく社会が、この点を端的に示しています。こうした現実の中で、遊びにみちた美術はどういう意味を持ちうるのか、そして本来の遊び心をいかに取り戻すことができるのか、展覧会を通して改めて問い直していきます。

会期

2006.1.7 [土] - 2.5 [日]

休館日

月曜日【ただし、1月9日(月)は開館】、 祝日の翌日【1月10日(火)】

開館時間

10:00~17:30  (入場は閉館の30分前まで)

観覧料

一般700円(560円)、大高生560円(450円)
※( )内は20名以上の団体料金。
※中学生以下と65歳以上、障害者手帳をお持ちの方(付き添い1名を含む)はいずれも無料です。展覧会入場時に確認いたしますので
・65歳以上の方は、年齢を確認できるもの(運転免許証、健康保険証等)をご持参ください。
・障害者手帳をお持ちの方は、手帳をご持参ください。

主催

埼玉県立近代美術館

協賛

信越化学工業株式会社

助成

財団法人地域創造

協力

JR東日本大宮支社

木村直道《シンバルを叩く男(バックミラー楽団)》1965-68年

木村直道《こわれたダダ》1971年

元永定正《いろだまよこきい》2001年

歌川国芳《としよりのよふな若い人だ》1847-48年